良い日和

2人の男の子を持つシングルマザー。今までのこと。パートナーのこと。これからのこと。ないない尽くしの思考からの脱却。じぶん日々研究ブログ。

0110からの電話

どうも、ひよりです。

 

休日の朝、末尾が「0110」の番号から携帯に電話がかかってきました。

 

市内局番からの末尾「0110」。

警察からの電話でした。

 

そのときあたしは夜勤明けの彼の帰りを待っていて、

もしかして彼が事故ったのでは?と不安を覚えつつ電話を取りました。

 

電話口の人は女性で「〇〇さんですか」と、あたしが結婚していた時の姓で話しかけてきました。

 

「おととしに相談に来られた件で、その後大丈夫かと思い電話しました」

 

その人は優しい口調でそう告げました。

 

ちょうど3年前、当時住んでた家から子どもたちを連れて出て行く前、

あたしは警察署へDV相談をしました。

 

警察署では夫婦間、パートナー間のDV相談を受け付けていて、

希望すると携帯電話番号を登録して、110番を押すだけで警察が駆けつけてくれる

措置を取ってくれます。

 

もし相手がいきなり目の前に現れて怖い思いをしたとき、命の危険を感じたとき、

通常であれば110番通報して名前と住所を名乗ったり経緯を説明する必要があるところを、

登録した電話番号からかけることで警察が内容を察知し、

何も告げなくてもGPSを使って駆けつけてくれるのです。

 

「どこに電話してるんだ!」と相手を逆上させずに助けを呼ぶことができる。

 

ストーカー等による凶悪犯罪が多く発生したことによってできた制度だと思います。

 

離婚を決意し家を出ることを決めたときに相談に乗ってもらった行政書士の方から、

家を出るときに置き手紙を残すこと、

家をでるまではそのことを夫に悟られないこと、

ストーカー化したり、逃げた先に押し掛ける恐れがあるので、不安であれば警察署に相談に行くこと、

そんなアドバイスを受けました。

 

あたしは一度も夫から暴力を受けたことはありませんでした。

だから自分がDVをされているという感覚はありませんでした。

 

でも夫の暴言は激しく、どんどんと心が蝕まれていきました。

真夜中に壁を激しく叩かれて脅されたこともありました。

外出していて少しでも約束した時間に戻れないと、「いまどこにいるんだ!」と

電話がかかってきて怒鳴られました。

 

常に監視され、常に罵倒される。

そんなことが続く毎日でした。

 

行政書士の方から「体に暴力を受けていなくても、それはれっきとした暴力だよ」

「あなたはDVを受けているんだよ」と諭されました。

 

暴力を受けていないのに警察署に相談なんて・・と逡巡していましたが、

「裏切られたという思いから、相手がどう出るかは予測できない」

「最悪のケースを考えなさい」

「今の警察は『なんだそんなことで』なんて突き放すようなことは絶対に言わないから」

との助言を受け、

「よかったらついていっても良いんだよ」という申し出までいただいたのですが、

ひとりでやってみよう、と思って、単身で警察署に赴きました。

 

相談を受けてくれたのは30代くらいの男性の警察官でした。

詳細を話した後、電話番号の登録をした方がいいとのことで手続きを行いました。

 

結果、離婚に至るまで、そして現在に渡って、夫があたしやあたしの家族に

危害を加えることはなく、一度も利用することはなかったのですが。

 

登録から何週間かに一度は警察署から現状確認の電話があり、異常はないかを聞かれました。

「大丈夫ですか?」と聞かれるたび、「大丈夫です」と答える。

何かがあっても警察が守ってくれる、このことが当時のあたしをどれだけ安堵させてくれてたか計り知れません。

 

最終的に離婚手続きが全て完了した後、無事解決したと警察署に報告を入れてからは

警察署からの連絡も途絶えていました。

 

だから今になってまたこの件で連絡があるとは・・と正直びっくりはしましたが、

「あぁ、あたしは色んなものに守られて生きているんだなぁ」とあらためて感謝しました。

 

あのとき、友人や母や妹に愚痴をこぼすだけこぼして、

でも帰るしかないと、あたしの帰る場所は、いる場所はここしかないんだと、

泣きながら帰っていたあの家。

 

あたしが至らないから怒鳴られるんだと思い込んでいた日々。

 

でも世界や社会はほんとはすごくあたしに優しかった。

渦中にいると、目隠しをされたようにそれに気づかないんですね。

責められてばかりいると、自分の気持ちに蓋をしてしまう。

 

もし、あの頃のあたしと同じように耳を塞ぎ、心を閉ざして嵐がやむのを待っている人がいたら、

「その嵐はやまないよ。一歩踏み出して自分から抜け出そう」って言いたい。

 

踏み出したその先はあなたが思っているよりも優しい世界が待ってるかもしれないから。

あたしがそうだったように。